How toチャートの使い方

① Date and Bartels No. (日付とバーテルス太陽回転周期番号)

チャートは、バーテルス太陽回転周期番号(Bartels Solar rotation Number)ごとにまとめられています。 バーテルス太陽回転周期番号とは、1832年02月08日をはじめの日として27日毎に更新されている番号です。 地球に対する太陽の自転周期が約27日であることから、太陽自転周期に対応した地磁気変化の回帰性などを調べる際に利用されます。 チャートの横軸は時間で、27日分のデータが1枚のチャートに記録されています。 縦1列にその日1日分の太陽・電離圏・地磁気・宇宙線のデータが記録されています。

② Sunspot and Solar Flare(太陽黒点と太陽フレア)

太陽黒点群の推移(USSPS*1)や太陽フレアの発生状況(UFLARE*2)が記録されています。 日付の下に記載されている名称は、太陽黒点の観測場所(USSPS発信元)です。 チャート部分は、縦軸が太陽面経度で 上側が北半球の東90度から西90度、下側が南半球の東90度から西90度です。 太陽黒点群や太陽フレアは、これらが観測された経度・時刻上に、表1に示す様に記号化され記録されています。 フィラメント消失や太陽電波バースト、プロトン現象の発生についても、チャート上に手書きで記録されています。

太陽黒点の記号

正方形の大小が太陽黒点の面積を表し、正方形の色が黒点数を表す。 黒点群のタイプと緯度は正方形の上部または下部に記載。

太陽黒点面積 正方形表示角
1–9 2mm
10–29 3mm
30–49 4mm
50–69 6mm
70–99 8mm
100< 10mm
黒点数 色別表示
1–9 青色
10–19 緑色
20–39 黄色
40–59 橙色
60< 茶色

太陽フレアの記号

赤く塗りつぶされた円は太陽フレアの発生を意味し、円の大小は太陽フレアの重要度を表す。 発生緯度は円の上部または下部に記載。

フレア重要度 円の直径
0 (Sub Flare) 1.5mm
1 3.5mm
2 7.5mm
3 10.5mm
4 14.0mm

*1 USSPS
光学観測のデータを交換するためのURSIgramコードの1つで、太陽黒点に関する情報が記述されている。コード名はUrsigram SunSPotS に由来する。USSPSに記載されている内容は以下のとおり: 「観測所」・「観測日時」・「相対黒点数」・「観測の質(シーイングの状態)」・「観測に使用した太陽像の大きさ」・「黒点群の一連番号」・「黒点群の面積」・「象限」・「日面経度差」・「日面緯度」・「半暗部の形」・「先行黒点の形状」・「チューリッヒ黒点分類」
USSPSコードの例と解読方法についてはISES web 参照:
http://www.spaceweather.org/ISES/code/od/ussps.html

*2 UFLAE
光学観測のデータを交換するためのURSIgramコードの1つで、太陽フレアに関する情報が記述されている。コード名はUrsigram FLArEs に由来する。UFLAEに記載されている内容は以下のとおり: 「観測所」・「観測日」・「発生象限」・「日面経度差」・「日面緯度」・「重要度」・「強度」・「面積」・「開始時刻」・「観測の質」・「極大の時刻」・「終了時刻」
UFLAEコードの例と解読方法についてはISES web 参照:
http://www.spaceweather.org/ISES/code/od/uflae.html

③ SWF(短波減衰・デリンジャー現象)

SWF(Short Wave Fadeout)の発生状況が記録されています。 SWFとは、太陽フレアの発生にともなった日照半球の下部電離圏の異常電離現象による短波帯電波の消失現象のことで、 一般にはデリンジャー現象と呼ばれています。 チャートの棒線は、平磯(電波研究所)でモニターしている短波通信回線でSWFが観測されたことを意味し(USIDS*3)、 棒線の上に重要度が記述されています。

GEOALERT平磯でSOLALERTが出された日には、太陽フレアによるSWFの発生を予報するという意味で赤線が引かれています。

重要度

SWFの重要度の決定は、現象の始まる前の強度値(dB)と減衰を受けた最小値(dB)との差を9段階(チャート)、 もしくは7段階(USIDS)で表している。回線別の重要度の決定基準は下の表の通り。

重要度 回線
チャート USIDS WWV
15 MHz
WWVH
15 MHz
Australia
New Zealand
Moscow
BBC
1- 0 0 dB– 0 dB– 0 dB– 0 dB–
1 1 11– 4– 12– 13–
1+ 7 15– 8– 16– 18–
2- 2 19– 12– 20– 23–
2 23– 16– 24– 28–
2+ 8 27– 20– 28– 33–
3- 3 31– 24– 32– 38–
3 35– 28– 36– 43–
3+ 9 40< 33< 41< 50<

*3 USIDS
電離圏に関するデータを交換するためのURSIgramコードの1つで、電離圏じょう乱に関する情報が記述されている。コード名はUrsigram Sudden Ionospheric Disturbance code S に由来する。USIDSに記載されている内容は以下のとおり: 「観測所」・「観測日」・「発生のタイプ」・「開始時刻」・「重要度」・「最大の時刻」・「確かさ」・「終了時刻」
USIDSコードの例と解読方法についてはISES web 参照:
http://www.spaceweather.org/ISES/code/si/usids.html

④ K-index(日本付近の地磁気活動)

気象庁柿岡地磁気観測所で観測された地磁気活動度(K指数)が記録されています(MagneKA*4、UMAGE*5)。 K指数は、3時間毎の地磁気擾乱の度合いを表す指数です。 静穏日の地磁気日変化に対する地磁気変化の偏差を10段階で対数的に指数化したもので、 3時間毎に算出されています。数字が大きいほど大きな地磁気擾乱があったことを示しています。 柿岡における地磁気変化量とK指数の関係は下の表のとおりです。 1日8個、世界標準時0時から3時間ごとに0から9までの10段階の値で表現されたK指数が棒グラフでチャートに記録されています。 棒グラフの中に記載されている数字は、発生した地磁気擾乱の種類を表しています(下表参照)。

GEOALERT平磯でMAGALERTを出した日には地磁気嵐の発生が予測されていたという意味で青線が引かれています。

柿岡のK指数と磁場の変化量の関係

K指数 磁場の変化量(nT) ak指数
0 0–3 0
1 3–6 3
2 6–12 7
3 12–24 15
4 24–40 27
5 40–70 48
6 70–120 80
7 120–240 140
8 240–300 240
9 300– 400

#Ak指数はak指数の1日平均値

地磁気擾乱の種類

種類 説明
0 静穏(正常または小さな擾乱)
1 大きな脈動型擾乱(周期3分以内)
2 波状擾乱
3 不規則擾乱
4 太陽フレア効果
5 湾状擾乱
6 衝撃的擾乱
7 急始型磁気嵐
8 磁気嵐の初相
9 磁気嵐の主相

*4 MagneKA
地磁気観測所(柿岡)が報告しているもので、URSIgramコードのUMAGEより情報量が多いことから日本国内での情報交換ではこちらが主に利用されていた。MagneKAに記載されている内容は以下のとおり:
「観測所」・「観測日」・「発生象限」・「3時間毎のK指数」・「3時間毎の地磁気擾乱の種類」・「補足情報」

*5 UMAGE
地磁気擾乱に関するデータを交換するためのURSIgramコードで、名称はUrsigram MAGnetic activity code E に由来する。UMAGEに記載されている内容は以下のとおり:
「観測所」・「観測日」・「Ak指数」・「3時間毎のK指数」・「顕著な現象の種類と発生時刻」・「最大の時刻」・「確かさ」・「終了時刻」
UMAGEコードの例と解読方法についてはISES web 参照:
http://www.spaceweather.org/ISES/code/gpd/umagf.html

⑤ 宇宙線強度

理化学研究所(東京、板橋)で観測された宇宙線強度(UCOSE*6)が記録されています。

*6 UCOSE
宇宙線強度に関するデータを交換するためのURSIgramコードで、名称はUrsigram COSmic rays、code E に由来する。UCOSEに記載されている内容は以下のとおり:
「観測所」・「最初のフラックスを観測した日」・「観測装置の型」・「データの報告時刻(観測の翌日)」・「1日を通しての変化の型」・「日変化の符号」・「日平均値」・「2時間後毎のフラックス値」・「平均レベルからの偏差値」
UCOSEコードの例と解読方法についてはISES web 参照:
http://www.spaceweather.org/ISES/code/gpd/ucose.html

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